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「ただいま・・・」
 どさり、と鞄を床に投げる。ソファに身も投げた。
 俯いてクッションに顔を埋めるといい匂いがした。いっそこのまま、眠ってしまいたい。
 顔を横に向け時計を見た。時刻は十一時を回っている。
 彼はもう眠ってしまっただろうか?
 襖を開けず、耳を立てた。音はしない。
「帰ってると思うんだけどな・・・」
 体を起こしてうんと伸びをする。眠気がとれるわけではないが多少楽になった。
 とにかく早く寝よう。ミントは早々と脱衣所へ向かった。
 服を脱ぎ捨て洗濯機に入れる。
 熱いシャワーを浴びると一気に疲れがとれた気がした。
「はぁっ・・・」
 キュッ、と蛇口を捻りお湯を止め、浅い湯舟に浸かる。
 こうしてぼんやりしているだけで、ミントは幸せだった。
 完全に足が伸ばせるわけではないが、それでも十分だ。
 今まで住んでた家は浴室すらなかった。銭湯に行って、帰って。それを毎日繰り返す。
 時々、いや、よく家に帰るのが嫌になっていたのを思い出し、ミントは一人笑った。
 こうしてお風呂の後、すぐに眠れるのはここの家の主、彼―爽楽のお陰だ。
 どうして自分を拾ったのか、それは未だによくわからない。
 同情でもしたのか、それとも金になると思ったのか、はたまた・・・。
 不思議には思うが、ミントは爽楽に感謝していた。まだ住んで少ししか経っていないが。
「何ヶ月・・・だろ」
 お湯がすっかりぬるま湯になっていることにも気付かず、ミントは月日を指折り数えた。
「ああ、爪切り、忘れてた」
 昨晩爪切りが壊れたことを今頃になって思い出したのだ。
 明日、きれそうな洗剤と一緒に買わなくては。ミントは自分が主夫になっていることにも気づくことはなかった。



多分続く
小説読んだ後って書きたくなりますよね!そして影響受けますよね!(笑
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