×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
崖から落ちた。ただそれだけだ。いや、確かにそれだけなのだが、落ちた本人にしてみればそれどころではない。
空はまだ青い。しかし夕暮れが近づいてきていることに替わりはなかった。
「危な・・・」
真っ白い服は土色。更にボロボロになってしまった。
あーあ、せっかく新しいリボンだったのに。
崖から落ちた本人、ページュはため息をついた。
買い物をしてちょっと寄り道をした。ただそれだけなのに。
ページュは空―崖の上を眺めた。そう高くはない。
「いたっ・・・あ、血・・・」
立ち上がろうとして足を捻ったことに気がついた。幸い、骨に異常はなさそうだ。
膝を擦りむいたせいでワンピースに血が滲んでいる。しょうがない。巻いていたマフラーを外して膝に巻いた。
どうせ赤いんだから、汚れても目立たないだろうし。
それより―ページュは体を震わせた。
大声を出せば誰かくるかもしれない。しかし落ちたとき、周りに誰もいなかった。今だって人の気配を感じない。
飛べばどうにかなるかもしれないが、今、ページュにそんな体力はなかった。
「ああもう、運が悪いな」
舌打ちして膝を抱える。ずきずき痛む膝をさするがあまり意味はない。
そうしているうちにどんどん日が沈んでいく。冷たい風がぴゅうと頬を横切った。
今日が晴れてるだけよかったかな。雨でも降ってたら凍え死んでいたかもしれない。
いや、雨だったらここにきていなかっただろう。やはり僕は運が悪かったんだ。
もしこのまま助けがこなかったらどうしよう。ページュは少し先に流れる川を見てぼんやり考えた。
死ぬ、なんてことはないだろうが・・・。死ぬんだったら食べ過ぎとか、そういう単純なことで死にたいし。
「そう簡単に死んでられないけど」
とにかく、独り言でも言ってないとやってられなかった。
ただでさえ苛々しているというのに。
数分後、だろうか。―彼にとってはもう数時間以上経っている気がした。
「・・・雨、か」
やっぱり運が悪いんだ。こんなときに雨が降るなんて。
目の前がぽたぽたと湿っていく。ほんとに凍死したら、化けて出てやろう。
そんな願いも虚しく、ページュの頭上には雨は降ってこなかった。
雲が僕を避けて雨を降らせてるのか。なんてファンシーなこと考えながら上を向くと、青い空がぽっかり浮かんでいた。
確かにそこには青空が広がって―なんてそんなことはなく。崖の上からひょっこりと誰かが顔を覗かせた。
「遅い」
「何ともないみたいだな」
ほっと安心したのは茶髪の男性。ページュは痛む足を無理矢理立たせ「早く下りてこいクーナ!」
と、叫んだ。
呼ばれた本人はあまり焦った様子も見せずに、崖をひょいと下りた。
「怪我は?」
「大有りだよ。もう少し遅かったら死んでた!」
そう言ってぐぅとお腹を鳴らせた。本人の意思ではないが、体は正直なのだ。
ページュを抱え、崖を飛び上がる。黄土色の固そうな羽はかっこいい、と呼べるものではなかった。
「歩けるか?」
「無理、傘は僕が持つから、おぶってね」
ページュの頭上には相変わらず、狭く青い空があった。
「しかし、生きててよかった」
「せっかく化けてでてやろうと思ったのに」
ま、生きるのも悪くはない。ページュはそう思いながら、次死ねる死因は食べ過ぎだな。と考えていた。
灯灰のが見つけられそうだけどね
灯灰とページュってあんま関係ないんだよなぁと今更
PR
この記事にコメントする
