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なんか表に載せづらい過去なんですが



 びゅう、と風の音が聞こえ目が覚めた。
 確かにベッドの上で布団に包まり寝ていたのだ。
「・・・夢?」
 カーテンが大きく揺れる。どうやら風が強いらしい。
 織色は立ち上がり、窓を閉めた。もう冬である。よく窓を開けて寝ていられたものだ。
 しかし昔は、薄い布団一枚で寝ていたのだ。
 そのことを思い出しぞっとした。
 急いでベッドに潜り込んだがどうも寝付けない。
 目が冴えてしまったならしょうがない。布団を畳んで部屋から出た。
 リビングが暗いと思っていた織色は驚いて目をつぶる。眩しくて目が明けられないのだ。
「・・・織色サン?」
 テーブルにコップを置いてラジオを聴いていたリフも驚いている。それは当たり前である。
 織色は寝付きがよく、一度寝たら朝まで起きないのだ。それなのに夜中起きてリビングに来るなんて思いもしなかったのだ。
「眠れないの?」
「えぇ・・・織色サンも・・・?」
 頷いて椅子に座る。リフはラジオをとめようとしたが、それを止めた。
 黙ったまま、ラジオの音だけが聞こえる。それだけでも幸せだった。
「静かって、怖いわよね」
 ぽつりと呟いた言葉に、リフはぴくりともしなかった。
「物音一つしないのが寂しくて怖かった。今騒がしいのが楽しく思えるぐらいに」
 リフはじっと織色を見つめていた。互いに違う過去がある。それはわかっていた。
 昔の話をしてもらったことがある。明かりは月の光だけ。何も聞こえない牢屋の中。
 体に薬を入れられ痛みで眠れなかったこともあった。もがいても泥沼のように沈んでいく、恐怖。
「でもね、それでいいの。私は今、こうして生きて、幸せなんだもの」
 ラジオから音楽が流れ始めた。ゆったりとしたバラードだ。
「辛いことガあったら、言ってくダさいね」
 瞼を開くとリフが微笑んでくれた。
 ありがとう。と微笑み返すと、欠伸が一つ。
「もう寝まシょう」
「そうね。おやすみリフちゃん」
 おやすみなさい、とラジオを持ち、階段を上がっていく。
 織色はリビングの電気を消して部屋に戻った。
 昔とおなじような暗い部屋。明かりは月の光だけ。
 それでもどこか暖かさを感じられた。
 ベッドにもぐりこんで目を閉じる。
 頭の中にはラジオの音楽が流れている。沈黙を断ち切るような、綺麗なバラードが。
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